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北里大学獣医学部 佐々木 宣哉の記事一覧

情報発信のあり方を考える

 科学研究の継続や進展のためには一般市民の支持が必要不可欠です。毎年、Gallup社のアメリカ人の”実験動物を使った医学研究”に対する世論調査に注目しておりますが、2001年〜2019年にかけて徐々に低下してきました (容認率、65% ➝ 50%)。昨年はコロナの影響もあり56%と上昇しましたが、2021年に再び50%に低下しました。日本がお手本としてきた米国の動物福祉政策を以ってしても、容認率の低下は避けられないようです。今回は、関連する話題として、一昨年のJALAS総会にて、塩谷恭子先生が企画された英国Understanding Animal Research (UAR)の活動の一部を紹介させて頂きます。

 UARは、代表のWendy Jarrett氏と8名の職員で運営されるNPO団体で、動物実験に関する情報の透明性を高め、英国民から理解・支持を得ることを目的としている。現在、英国の124の主要な研究機関 (公的研究機関、大学、学会、製薬会社、飼育関連機器会社等)がUARに加盟し、加盟施設は下記の4つの協定を結び、UARは加盟施設への指導・助言を行う。

  1. 実験に動物を使用する場合、いつ、どのように、なぜを明確にする。

  2. メディアや一般市民に対し動物実験についてより積極的に情報を公開する。

   (HPに情報を掲載し、問い合わせや質問には確実に回答すること等)

  3. 自ら進んで動物実験について国民が知る機会を増やす 

  (出前授業や施設内のバーチャルツアー動画を公開する等)。

  4. 年に一度、UARに活動内容を報告し、加盟施設間で情報(成功/失敗体験)を共有する。

 加盟施設のうち、マスコミ向けに動物実験の情報を積極的に提供している施設は61箇所、外部の訪問客を受け入れた施設は57箇所、学校に演者を派遣あるいは施設に学生を受け入れた施設は56箇所、マスコミの撮影を受け入れた施設は13箇所である(2019年)。情報公開において先駆的な試みを行った施設には、12月に開催される情報公開表彰式において表彰される。

コラム

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